血圧が高い状態が長く続くと、心臓や腎臓に負担をかけてしまい、心筋梗塞や脳卒中を引き起こすリスクが高くなります。一般的には、血圧が140/90mmHg以上になると、まずは生活指導を行います。食生活を見直して、塩分の多いものを食べ過ぎないようにします。運動をして血管が広がるようにして血流を良くして血圧が下がるようにします。太り過ぎている人はカロリー制限をして、減量します。これらの生活改善を行っても3か月以上140/90mmHg以上が続く場合に、降圧薬を使うのが一般的な治療ですが、中には生活指導を行うことなく、1回の血圧測定で投薬を開始する医師もいるようで、医師たちの間では過剰投与だと問題になっています。

高血圧で投薬を開始する時に、第一選択薬になっている治療薬は、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE)、利尿薬、β遮断薬の5種類があります。カルシウム拮抗薬はもっともポピュラーに使われている高血圧の治療薬です。カルシウム拮抗薬の中にも色々な種類があります。医師がよく処方するのは、アムロジピンベジル酸塩のノルバスクあたりが多いです。これらのカルシウム拮抗薬の特徴を一口で言うと、癖がなく他の高血圧治療薬とも仲良く付き合えるということです。ARBは近年人気がうなぎ上りの高血圧治療薬です。かってはカルシウム拮抗薬が一番人気だったのですが、現在ではARBがカルシウム拮抗薬を追い抜いています。その理由は、腎臓や心臓に優しいということです。高齢者にも使いやすいので、超高齢化社会を迎える今後は、ますます人気が上がるでしょう。

テルミサルタンのミカルディスなどが代表的なARBです。利尿薬は、一昔前は高血圧の治療薬としてよく使われていましたが、現在はあまり使われていません。長く使うと色々と副作用などの問題が出てくるためです。β遮断薬は、若い人で高血圧の場合に使われることが多いです。メリハリがあって切れ味が良いことが特徴ですが、高齢者には向かない点が多いです。

通常、高血圧の治療薬を使う時は、まずは1種類から開始します。それで効果があれば1種類でコントロールしますが、効果がない場合は増量するか、少量ずつ2種類の降圧薬を使います。1種類の降圧薬で目標の血圧まで下がる人は3分の1ほどで、多くの人は2~3種類の降圧薬を併用しています。数種類の降圧薬を併用するのは、同じ薬を増量するよりも違う種類の降圧薬を使う方が、副作用を分散できるからです。

高血圧の薬と飲み合わせが悪い薬はある?

副作用を分散させるために、同じ降圧薬を増量するよりも違う種類の降圧薬を使うことが多いです。しかし、このときに他の降圧薬と仲が良い薬もあれば仲が悪い薬もあります。ノルバスクなどのカルシウム拮抗薬は、利尿薬やARBや ACE、β遮断薬とも仲良く付き合えます。しかしミカルディスなどのARBは、ACEと併用すると作用が似ているために血液中のカリウムが増えすぎるリスクが高まります。また、β遮断薬との併用も推奨されていません。β遮断薬は、利尿薬と併用すると糖尿病や脂質異常症を悪化させるリスクが上がります。

そして、高血圧の治療薬と相性が悪い薬剤もいくつかあります。非ステロイド系鎮痛剤(NSAIDs)がその1つです。非ステロイド系鎮痛剤は、利尿薬やβ遮断薬、ACEの作用を弱めてしまうことがあります。消化性潰瘍の治療薬であるH2受容体拮抗薬は、ノルバスクなどのカルシウム拮抗薬やβ遮断薬との相性が悪く、降圧効果を増強してしまいます。てんかんの治療薬として使われているカルバマゼピンと非DHP系のカルシウム拮抗薬を併用すると、カルバマゼピンの作用が増強します。しかしミカルディスはDHP系なので、その心配は不要です。

薬ではありませんが、降圧薬とグレープフルーツは相性が悪いです。特にDHP系のカルシウム拮抗薬を服用する前後にグレープフルーツジュースを飲むと、降圧効果が増強すると言われています。ノルバスクはDHP系なので、服用の際や服用の前後にグレープフルーツジュースを飲むのは、避けてください。